No.004里親インタビュー

12歳の保護猫を迎えて。直⁠太⁠朗⁠く⁠んが家に慣れるまでと、シニア猫との暮らし

クッションの上で体を丸めてくつろぐ黒猫の直太朗くん
Yさん提供:クッションの上でくつろぐ直太朗くん
どのような猫を迎えるか、年齢を含めて考える人もいるかもしれません。閉鎖を控えたシェルターで、Yさんが家族に迎えたのは、12歳の黒猫・直太朗くんでした。保護猫が新しい家に慣れるまでの様子、迎えると決めた理由、シニア猫と暮らして感じる魅力を聞きました。

お話を聞いた人

Yさん

お住まい
大阪府
一緒に暮らす猫
直太朗くん(13歳)

SNSで気になっていたのは、別の若い猫。12歳の保護猫を迎えるまで

猫を迎えようと思った経緯を教えてください。

以前から猫を迎えたいと思っていました。ただ、仕事や外出もあるため、子猫に十分な時間をかけるのは難しいかもしれないと考えていました。そんなとき、SNSで閉鎖を控えたシェルターが、猫の引き取り手を探していることを知り、話を聞きに行くことにしました。

実際にシェルターを訪れてみて、いかがでしたか。

実はSNSの投稿では、別の若い猫が気になっていました。けれどシェルターを訪れると、当時12歳の直太朗に出会い、施設の方から話を聞きました。

直太朗くんはどのような経緯でシェルターに来た子なのでしょうか。

施設からは、直太朗はもともと飼い猫だったのではないか、と聞きました。捨てられたあと、愛護センターを経てシェルターへ来たそうです。

人が好きな子で、愛護センターでも人にすり寄っていたそうです。その姿を見た方から、「この子を殺処分にするわけにはいかない」とシェルターへ連絡が入ったと。

直太朗くんを迎えようと思った決め手は何でしたか。

シェルターで暮らしていた間に、白血病の猫に血をあげたこともあったと聞きました。健康面では、目の変色や心肥大の疑いがあることも聞いていました。

そうした話を聞いて、「猫はみんな幸せになるべきなのに」と思いました。だから、「あんたも幸せになりや」と思ったんです。

もちろん、自分が直太朗を幸せにしてあげられるのか、不安もありましたが。

12歳で急に名前が変わるのは可哀想かなと思い、名前もそのまま引き継ぎました。家では「なおちゃん」と呼んでいます。

毛布の上で目を閉じて眠る黒猫の直太朗くん
Yさん提供:毛布の上で眠る直太朗くん

保護猫が家に慣れるまで

迎える前の準備と、家へ来た日の様子を教えてください。

施設では自由に歩いていたので、大きなケージにずっと入るのは嫌だろうと思い、ケージは簡単なものを用意しました。100円ショップのワイヤーネットを結束バンドで繋ぎ、扉は開けたままにしていました。

迎えた日はその中で落ち着いて過ごし、鳴くこともありませんでした。ごはんは施設で食べていたものと同じものを用意すると、食べてくれました。

新しい家に慣れるまで、どのくらいかかりましたか。

施設の方からは、慣れるまで時間がかかるかもしれないと言われていました。私は無理に近づかず、直太朗が来るのを待ちました。

すると、自分から出てきて、私の腕の下あたりで寝るようになったんです。迎えて2日後には、一緒の布団で寝ていました。追いかけずに待ったことが、よかったのかもしれません。

オンライン会議にも参加。普段の暮らし

直太朗くんは、どのような性格ですか。

私がいないときは、ほかの人にもすり寄っていくそうです。でも、私が直太朗をなでているときに別の人が手を出すと、「何するねん」という感じで猫パンチをします。

私を守っているのか、独り占めしたいのかは分かりません。私がいるときと、いないときで態度が違うようです(笑)。

直太朗くんが好きなことはありますか。

直太朗は、ふわふわした場所が好きです。ベッドや私の膝の上でよく過ごしています。あとはオンライン会議をしていると、間に入ってきてカメラに映ることもあります。

パソコンの前に座る黒猫の直太朗くん
Yさん提供:オンライン会議に参加することもある直太朗くん

年齢や体調に合わせて、暮らしを整える

シニア猫となると気になるのは健康面です。直太朗くんの健康状態はいかがですか。

迎える前に聞いていたのは、心肥大の疑いと、目の色が変わっていることでした。ただ、その目のことですが、暮らし始めてから、かかりつけの先生に、目の変色が広がっているのではないかと言われました。メラノーマの可能性もありますが、眼球を摘出して組織を調べなければ、はっきりとは分からないそうです。

今は定期的に眼圧を測り、見えているかを確認しています。また検査では、慢性膵炎があった可能性も指摘されました。迎えたあとに、少しずつ分かってきたことがあります。

年齢や体調に合わせて、暮らしの中で変えたことはありますか。

以前の家にはロフトベッドがあり、直太朗は人間のようにはしごを渡っていました。でも、危ないと感じて、ロフトベッドをやめました。キャットタワーも使わなくなり、今は椅子くらいの高さまでにしています。

直太朗の目については、いくつかの病院にかかりました。最終的に、猫の目を詳しく診ている先生にたどり着きました。

今は記録を取りながら、眼圧や見え方を確認してもらっています。近くに、きちんと診てくれる動物病院を見つけておくことは大切だと感じています。

白い毛布にくるまり顔を出す黒猫の直太朗くん
Yさん提供:毛布にくるまる直太朗くん

直太朗くんを迎える前に、考えていたことはありますか。

保険を考えているなら、迎える前に加入できるかを確認しておくといいと思います。直太朗の場合は、10歳を超えていたため、ペット保険には加入できませんでした。医療費が全額自己負担になることは、迎える前から覚悟していました。

ただ、若い猫のときから保険料を積み立てた場合の総額と比べると、そこまで大きな差はないのかもしれない、とも思います。

保護猫と暮らして感じる魅力

直太朗くんと暮らして、どんなところに魅力を感じますか。

直太朗は、落ち着いて過ごすことが多いです。私自身も家でゆっくり過ごすのが好きなので、そのペースが合っています。

名前を呼ぶと返事をしてくれて、「おはよう」と声をかけると、いつもとは少し違う声が返ってきます。私が忙しいときには、その空気を読んでいるように見えることもあります。

そんな毎日のなかで、いちばん楽しみなのは家に帰るときです。玄関との間に扉があるので、入口までは来られません。でも扉を開けると、直太朗がやって来て、頭を強くすりつけてくれます。毎日、盛大なお出迎えです。

白い毛布の上で前足を伸ばして寝転ぶ黒猫の直太朗くん
Yさん提供:のびのびと過ごす直太朗くん

これから猫を迎える人に、伝えたいことはありますか。

直太朗のように、落ち着いていて、人の言葉を分かっているように感じる猫は、一緒に暮らしやすいと思います。

子猫とはまた違う可愛さがあるので、年齢を重ねた猫も選択肢に入れてほしいです。

編集後記

シニア猫を迎えるという選択肢について

多くの保護団体では、子猫に比べて成猫は譲渡先が決まりにくいと聞きます。

けれど近年、猫は30歳まで生きる可能性も語られるようになりました。人生100年時代ならぬ、「猫生30年時代」です。

30年という長さで考えれば、数年の年齢差が、出会いをためらう理由になるとは限りません。

年齢や見た目といった猫のスペックだけでなく、これまでどんな時間を生きてきたのか、どんな性格なのか。1匹1匹の猫が持つストーリーにも目を向けて迎えることは、素敵な選択肢の一つだと感じました。

この記事を書いた人

石佛晴奈

ネコリンク編集長/合同会社Enphoria代表

地域猫との出会いをきっかけに保護猫活動を知り、現在は自身も保護猫と暮らす。猫との暮らしを支えるスマホアプリ「ネコカルテ」「ネコゴハン」と、保護猫と人をつなぐメディア「ネコリンク」を運営。ネコリンクでは、自ら取材・執筆も行っている。

運営者について

※この記事は、2026年9月にYさんへ行った取材をもとに作成しています。

この記事をシェア